医療広告ガイドラインでは「アフィリエイト広告」も規制対象になる?

結論から言うと、アフィリエイト広告も医療広告法の規制対象になります。

ただし、医療広告ガイドラインなどに則したアフィリエイト広告を打つことは、なかなかハードルが高いかもしれません。広告主や広告代理店が医療広告ガイドラインを守っても、肝心のアフィリエイターが関連法規の知識がなく、違反してしまうケースが多いからです。

そのためSNSやweb広告上で医療広告の限定解除要件を満たすことが困難であるというのが実情ですが、アフィリエイト広告の運用会社に最初に法規対応について相談するのも、ひとつの手段です。

医療広告法に不安材料がある場合に役立つのが、医療広告ガイドラインを含む医療広告規制の事例について厚労省がリリースしている「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」です。どのようなことがわかるか、ここで少し紹介しておきましょう。

更新された医療広告規制の事例解説書でわかること

「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」とは、医療広告ガイドラインなどの法令を実際の広告事例に落とし込み、こういう広告はNG、このようにすればOKとわかりやすく解説しているもので、定期的に新しいバージョンが公開されています。

2018年6月に厚生労働省により改正・適用された医療広告ガイドラインで広告とみなす範囲が拡大されました。これまで広告扱いされていなかったホームページなどのwebサイトも広告としてみなされるようになったわけですが、医療広告ガイドラインを読んだだけでは、どんな広告がOKでなにがNGなのかわかりにくいというのが現状です。

そこでそんなときに活用したいのが、厚労省がわかりやすく事例をまとめた「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」です。直近では令和5年(2023年)10月6日に第3版がリリースされたのですが、このときはおもに虚偽広告や誇大広告、費用などを強調した広告について、新規の事例が追加されました。また比較有料広告についても修正がおこなわれました。

SNS・動画広告に対する監視も始まっている

さらに令和6年(2024年)3月25日には最新版となる「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書第4版」をリリース。今回はおもにSNS・動画における事例が新規追加されています。

「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書第3版」を公開してから半年も経たないうちに第4版がリリースされた理由について、厚労省は以下のように説明しています。

「最近は特にSNSに投稿されたインフルエンサーの投稿などを見て、医療機関の施術内容を判断するなど、SNS上の口コミ等が消費者に大きな影響を与えていることを受けて、昨年10月の医療広告協議会でSNS・動画の指摘方針の協議を行い、本年度のネットパトロール事業よりSNS、動画の監視を開始した。その結果を踏まえ、新たに第2章「SNS・動画における事例」の章を追加する案の作成を行った。」

厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第4版)について」より引用

この第4版の解説書でSNSおよび動画広告の事例という項目を新規で追加した理由からもわかるように、web広告の中でもSNSや動画の影響が強くなっているからこそ、医療広告における規制に関しても厳しく見ていく必要があります。

SNSや動画のなかで発信していい内容は限られている

たとえば広告が禁止される事例として取り上げられている「体験談」に関して、アップデートされた事例解説書第4版で追加された内容について、下記のように説明しています。

「SNS特有の事例として、他者の投稿を引用することで自院のサービス等の体験談を紹介しているケースも見受けられるため、そのような場合も違反に相当することを明示するため、新規作成した。」

厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第4版)につい」より引用

医療広告ガイドラインでは限定解除要件を満たすことで治療法や治療効果などについて広告に記載していいことになっていますが、この限定解除要件を満たすためには、X(旧ツイッター)などのように書ける文字数に限りがある場合は、治療期間や副作用の可能性など細かい限定条件をクリアするのは、事実上難しい部分があります。

したがって医療機関がSNSを中心としたアフィリエイト広告を出して集患に活かすためには、限定解除要件を満たす記載が必要であると同時に、施術の効果など直接治療に関連する口コミや感想などを、アフィリエイターに書かせていないか確認する必要があります。

以下でもう少しくわしく説明していきます。

医療機関のアフィリエイトは禁止事項を除くなど条件を満たす必要あり

前提条件として整理しておきたいのは、SNSや個人ブログが広告にあたるかどうか。クリニックの公式サイトや公式アカウントのSNSなどは広告として扱われるため、医療広告法において許可されている内容、すなわち

  • 診療科目
  • 診療日・診療時間
  • 入院設備の有無 や病床数
  • 医療従事者の氏名・性別・年齢(非常勤である場合はその旨記載)

などの基本的な情報しか掲載することができません。上記のような情報のほか追加できるのは「治療や施術に関係ない、施設の印象や対応したスタッフに関する感想」くらいしかありません。

アフィリエイターの個人ブログも医師やスタッフのブログも広告媒体

アフィリエイターが個人ブログやSNS上でこのような情報を発信したところで、広告主であるクリニックに送客できる可能性は低くなってしまいます。

診療や治療、施術の効果などは限定解除要件を満たせば表記できますが、施術を受けたアフィリエイターの体験談や口コミなどは、広告での使用が禁止されています。

クリニック名やURLを入れた段階で特定性と誘因性が認められますので、個人ブログも広告媒体としてみなされるため、治療に関する口コミや施術内容、施術の効果などの個人的な感想は「広告不可能」な内容ということになります。。

さらにクリニック医師やスタッフが個人的に運用しているブログやSNSに関しても、所属するクリニックが特定できれば「広告」ですし、クリニックの公式サイトへのリンクを設置していれば、同じように「広告」扱いになります。

アフィリエイターの質も重要、場合によっては関連法規の指導も

医療広告ガイドラインでは、アフィリエイターも広告規制の対象であると明記しています。

「広告依頼者から依頼を受けて、広告を企画・制作する広告代理店や広告を掲載する新聞、雑誌、 テレビ、出版等の業務に携わる者及びアフィリエイターは、依頼を受けて広告依頼者の責任によ り作成又は作成された広告を掲載、放送等するに当たっては、当該広告の内容が虚偽誇大なもの 等、法や本指針に違反する内容となっていないか十分留意する必要があり、違反等があった場合 には、広告依頼者とともに法や本指針による指導等の対象となり得るものである。」

厚労省「医療広告ガイドライン」より引用

医療広告ガイドラインに違反している広告があった場合、その広告を作成し依頼した医療機関が処分を受けるのはもちろん、その広告を掲載したアフィリエイターにも同様に処分がおこなわれます。

このことを十分に理解しているアフィリエイターであれば問題ないのですが、おこずかい稼ぎ程度の軽い感覚で、医療広告法など関連法規の知識がまったくないアフィリエイターも存在します。

広告主や広告代理店は、自社のアフィリエイト広告を担うアフィリエイターに対して、関連法規に抵触しない投稿を指導していくことと、投稿した内容が医療広告ガイドラインなどに違反していないかなど、監視を続けていかなくてはなりません。

「作成した側が勝手に違反した。気付かずに掲載してしまった」「医療広告ガイドラインに抵触しているとは思わなかった」では済まされないということです。

アフィリエイターの「ステマ問題」を起こさないための監視も重要

さらに近年問題になっているのが、いわゆる「ステルスマーケティング」という手法です。

広告主および広告代理店とアフィリエイターとの間に金銭授受を含む契約があるにもかかわらず、あたかも「個人の感想」として投稿し、商品やサービスに故意に誘導するマーケティング手法で、このステマについても医療広告ガイドラインに下記のような記述があります。

「加えて、患者等に広告と気付かれないように行われる、いわゆるステルスマーケティング等についても、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなど、実質的には上記①及び②に示したいずれの要件も満たし、同様に広告として取り扱うことが適当な場合があるので十分な留意が必要である。」

厚生労働省「医療広告ガイドライン」より引用

※補足:「上記①及び②」とは、以下の要件のことを指します。

① 患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)
② 医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)

アフィリエイターが医療広告ガイドラインを熟知していて、かつ、限定解除要件を満たす記述をしていれば合法。しかし実際には、禁止されている体験談や術前・術後の違いや施術の効果だけを投稿することが多かったことから、ネットパトロールが強化され、具体的な事例としても新規追加されるに至っています。 しかし限定解除要件を満たすことができれば、SNSやブログで広告できる内容が増えることになります。限定解除要件については、下記ページでくわしく解説していますので、下記ページも参考になさってください。

アフィリエイト広告を掲出する場合の注意点とは

アフィリエイトサイトやSNS・ブログと「限定解除要件」の関係性

アフィリエイトサイトやブログにバナー広告などを掲出する場合は、医療広告ガイドラインの規制の対象であることを十分に理解したうえで対策することが前提となります。

広告を作成した医療機関が違反のある表現をしていた場合、広告主や広告代理店はもちろんのこと、その広告を貼ったアフィリエイターも責任が問われるようになりました。したがって、「違反の疑いのある医療広告は出さない」という姿勢が重要です。

また、医療広告ガイドラインには「限定解除」という要件を満たせば記載できる内容が設けられていますが、アフィリエイトのバナー広告はこの限定解除の対象外であるため、 医療広告ガイドラインで禁止されている表現は一切できません。

「医療機関を紹介する」アフィリエイトサイトの場合は?

複数の医療機関を紹介するサイトでは、「誘引性」と「特定性」がない場合に限り広告とはみなされません。ただURLを踏んだユーザーを送客して初めてアフィリエイトが成立するということを考えれば、アフィリエイトサイトに掲載される内容は広告として扱われます。したがって広告を掲載する際は、

  • 広告の表現内容が医療広告法に違反していないかを確認する
  • 特定の医療機関のみにバナー広告を貼っていないかを確認する
  • 自院と競合クリニックを比較する「比較有料広告」になっていないかを確認する

上記をクリアしたうえで、限定解除要件を満たす必要があります。

「医療機関の口コミサイト」でアフィリエイトは可能?

医療機関の口コミサイトも「医療機関を紹介するサイト」同様に「誘引性」と「特定性」がない場合のみ広告とはみなされません。しかし集患を目的としたアフィリエイトであれば、クリニック名などが特定されないということは考えられませんし、公式サイトや集患用のLPなどへのリンクを貼らない、というのも考えにくい状況です。

さらに「医療広告ガイドラインに関するQ&A」には以下のような記述があります。

「Q2-10 医療機関の口コミ情報ランキングサイトについては、広告規制の対象でしょうか。(P.9)

A2-10 ランキングサイトを装って、医療機関の口コミ(体験談)等に基づき、医療機関にランキングを付すなど、特定の医療機関を強調している場合は、比較優良広告に該当する可能性があり、広告できません。(関連:Q2-9、Q2-11)」

厚生労働省「医療広告ガイドラインに関するQ&A」(平成30年8月作成)より引用

ということは、口コミサイトへの広告掲出やアフィリエイトバナーの貼り付けなどは、事実上難しいというほうが正解かもしれません。

媒体ごとに広告掲載のレギュレーションが異なる可能性はありますが、ネットパトロール事業者への通報などのリスクもありますので、つねに自院の広告が関連法規に抵触していないか、人任せにしないで確認することが大事です。

アフィリエイトは医療広告規制の影響を大きく受ける

アフィリエイトも医療広告ガイドラインの規制の対象である以上、広告の扱いには十分に注意することが必要です。ユーザーにとっては「広告を作成した側」も「広告を発信した側」も同じです。

医療広告ガイドラインを含む関連法規は消費者保護の観点で制定されているものであり、患者に優良誤認をさせたり、不当に高額な手術を勧めたりしないよう、つねに広告が見張られていると考えるのが妥当です。

ネットパトロールで問題が表面化した場合は、今回紹介した「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」がアップデートされていきますので、広告代理店も広告主である医療機関も、最新の情報をチェックするようにしていきましょう。

ネットパトロール事業2022年度の結果、違犯の約半分が美容医療

医療分野の違反は4115件あり、そのうち美容(医療)が48.0%の1974件、歯科が26.4%の1085件で、美容と歯科だけで全体の約4分の3を占めていたという報告がありました。

違反広告が多い美容医療分野に対するチェックは今後もますます厳しくなることが予測されますので、いまのうちに自院の広告が適正かどうか、見直しの必要がないか、確認しておくようにしましょう。

※参照元:m3.com公式サイト「GLP-1ダイエット等、副作用救済対象外とGL明記へ」

医療広告ガイドラインに則したアフィリエイトまとめ

医療広告ガイドラインはアフィリエイターの個人ブログやSNSなども規制対象としていることと、記載できる内容が限られていること、さらに限定解除要件を満たせば広告可能な内容を増やすことができることについて説明してきました。

医療系のアフィリエイトで多いのは下記のようなジャンルが多いようです。

  • 脱毛
  • ホワイトニング
  • インプラント
  • 視力矯正
  • AGA
  • 包茎手術
  • ホクロ除去
  • 痩身

これらのジャンルでアフィリエイトを運用している実績のあるアフィリエイトサービスプロバイダー(ASP)に法規対応の相談をしてみるか、広告に関する関連法規にくわしい弁護士事務所に相談するなどして、適正・適法のアフィリエイト広告を打っていくようにしてください。

ただ、いきなりASP会社や弁護士事務所に相談するのは…と感じてしまう医療機関もあるかと思います。

Zenkenは医療マーケティングにも医療広告にも強い会社です

弊社は医療広告のみならず、公式サイトのリニューアルやメディアの制作・運用、SNSなどの運用支援、動画広告の作成などweb広告に関する実績を積み重ねてまいりました。

とくに医療機関のマーケティング全般を手掛けてきた弊社だからこそわかるノウハウやソリューションもございます。

ASP会社や弁護士事務所への相談に抵抗があるという場合は、一度弊社までご相談ください。

医療広告ガイドラインに則した広告制作やライティング、コンテンツマーケティングなど、ご要望に合わせたご提案をさせていただきます。

この記事を書いた人

ライステ編集部:和賀
ライステ編集部:和賀
1,200名以上登録されてるライタープラットフォーム:ライターステーション責任者。2024年より「記事作成代行サービス」や「Hubspot導入支援」、「インタラクティブ動画」など、コンテンツマーケティングに関する支援を開始。

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